子どもが不登校になると頭は大混乱。
- この先どうなるの?
- 引きこもりがちだけど大丈夫?
- 昼夜逆転だけど治るの?
- いつ学校に行けるようになるの?
とにかく不安ですよね。
どうやって子どもに接したらいいかもわからず、出口の見えないトンネルに迷い込んでしまった気分だと思います。
本当にこのままでいいのか?
でも、あれこれ言ってこじれるのは嫌だ…。
このような葛藤を繰り返しているでしょう。
そんなあなたに知ってほしいのが「不登校の回復過程」。
休みがちになってから元気になるまでの過程には一定のパターンがあるんです。
もちろん不登校の原因やきっかけは人それぞれ。
性格や環境も100人いれば100通りなので、全員がこのパターンに当てはまるわけではありません。
でも、ある程度の共通サインがあるのは事実。
先が見えないあなたにとって、参考にする価値はあるでしょう。
不登校から元気になる過程を知っていれば、子どもの状態を把握しながら安心して見守れます。
引きこもりになっても昼夜逆転になっても、それがあるあるだとわかれば覚悟して向き合えるはずです。
お風呂に入らない日が増えても、それが前に進んでいる証拠だとわかれば不安も減るでしょう。
今回は不登校の回復過程とそのとき親ができること・やるべきことをまとめていきます。
不登校の回復パターンを知ることはメリットばかり。
2万字近くあって長いですが、せっかく睡眠時間を削って書いたのですべて公開します。
- 不登校の回復過程には一定のパターンがある
- 回復過程を知れば、見通しが立てられるようになる
- 時期に合わせて適切な対応をすることが重要
不登校の回復過程と親ができること【7段階】
NPO法人コミュニティ総合カウンセリング協会「不登校の7段階とは」を参考に、不登校の回復過程を一目でわかるようにまとめました。
- 第一段階:不登校開始期
・登校できない日がある
・からだの不調を訴える
・夕方になると調子いい
・行きたいのに行けない - 第二段階:悩み苦しむ時期
・反抗的になる
・罪悪感で苦しむ
・昼夜逆転
・ダラダラとした生活に - 第三段階:エネルギー補充期
・一日中寝ている
・食事をしない
・お風呂に入らない
・部屋にこもる - 第四段階:エネルギー再活性期
・ゲームやスマホばかり
・好きなことに熱中する
・甘えてくる
・わがまま - 第五段階:再活動希望期
・「ひまだなぁ」「○○しようかな」と言う
・生活リズムが整ってくる
・勉強を始める
・運動を始める
・学校の話をする - 第六段階:リハビリ期
・実際に活動を始める
・登校を始める
・休みながら進んでいく
・笑顔が増える - 第七段階:完全登校社会復帰期
・安定して登校できる
・社会と関わりながら生活できる
・自分で決めて行動できる
「うちの子は全くこのパターンじゃない…」
「回復できていないのか…」
と心配される人がいると思うので念のため書いておきます。
あくまでわたしの感覚ですが、中学生・高校生の男子がこのプロセスをたどることが多いようです。
逆に小学生や女子だと、第二段階・第三段階・第四段階がそこまで深刻にならずサクッと終わることも。
純粋に今の学校が合わないだけのときは転校やフリースクールなど環境を変えるだけで、元気に登校できたりもします。
このパターンにならないからダメってことはないので、安心してくださいね。
以下では各ステップについて詳しく解説していきます。
不登校の回復過程と親ができること
不登校の回復過程と各ステップで親ができることを詳しくまとめていきます。
「適切な対応なんてわからない…」というあなたでも、とりあえず指針があれば安心できるはず。
本当にこのままでいいのか?
どうしようどうしよう…
と頭を抱えることも減るでしょう。
もちろん悩みや不安をゼロにはできませんが、少しは見通しが立つと思います。
もしかしたら、これを読んでいる人のなかは
初期対応めちゃくちゃ間違えてた…
あのとき◯◯しなければ…
など自分を責めてしまうことがあるかもしれません。
たしかに親の対応でわが子の心が傷ついたことは否めないでしょう。
でも、不登校なんて初めてのことだし、完璧な対応ができないのは当然です。
ママだってパパだって人間ですし仕方ありませんよね。
あなたはあなたなりに必死に不登校と向き合っていたはず。
これから子どもと一緒に少しずつ成長していけばOKですよ。
そういう紆余曲折も含めて、人生に必要な時間だと思っています。
また親ができること・やるべきことの中には、
- 簡単にいうけどこんなの無理!
- 頭ではわかっているけどできない!
ってこともあるかもしれません。
まあそれはそれで。
とりあえず知識を入れることが大切なので、気負わずに見ていきましょう。
どういう対応がベストかは結局のところ
- わが子のことを考えた上での行動かどうか
- 親子の信頼関係があるかどうか
によると思います。
不登校対応に正解はありません。
第一段階(不登校開始期)
第一段階は少しずつ欠席が増えてくる時期です。
今まで何事もなく学校に行っていた子が身体症状を訴えはじめます。
頭痛でなかなか起きてこなかったり、腹痛でトイレから出てこなかったりすることも多いでしょう。
特徴的なのは夕方になると体調が良くなること。
こんなに元気なんだから明日は行けるでしょと思っても、朝になると再び動けなくなる状態を繰り返します。
体調を心配して病院に行っても「異常ありません」と冷たく言われることがほとんどです。
異常はないのに朝だけ体調が悪くなる。
このような欠席が増えてくると
- 甘えじゃないか?
- 仮病じゃないか?
と疑い引っ張って無理やり学校へ行かせることもあると思います。
しかし、不調はまぎれもなくSOSのサイン。
決して仮病ではありません。
今まで普通に学校生活を送っていたように見えても、実は小さなストレスが積み重なり「もう限界…」のところまできてるんです。
でも、そのストレスは小さすぎて目に見えないので、学校に行けない理由がよくわからず親も子も混乱します。
最初のころは2週間に1回の休みだったのが、1週間に1回、3日に1回と次第に増えてくるのがお決まりのパターンでしょう。
初期対応のポイントは3つ。
1つめはからだの不調を訴えたら登校刺激をしないこと。
行き渋りが始まったら一度は登校を促しますが、体調不良を訴えたらすぐにやめましょう。
この段階で無理やり連れていったり、叱ったり責めたりすると親子の信頼関係がガタガタに崩れて、回復スピードに差が出ます。
2つめはわが子の体調や苦しい気持ちに寄り添うこと。
あなたも体調が悪いときに「大袈裟だ」「仮病だ」「仕事行け」と言われたら絶望的な気持ちになりますよね。
先ほども言ったように身体症状は嘘ではありません。
まずは子どもに共感して体調を気遣うことが大切です。
また、このときの子どもは「行きたいのに行けない」と苦しんでいることも多いので、この気持ちにも寄り添ってあげてほしいなと思います。
人によって頑張れる量やストレス許容量・成長速度などは違うので、くれぐれも
「社会はもっと大変」
「みんな頑張ってる」
「わたしも我慢してた」
など正論ぽいけど抽象的な言葉、”そんなの知ってるよ”と言いたくなる言葉、言ったところで何も解決しない言葉は控えてください。
3つめはわが子の様子をよく観察し、早めに相談すること。
欠席をする日には一定の傾向がある場合もあります。
例:月曜日や学期はじめ、テスト前など
ランダムなのか傾向があるのか、よく観察してください。
そして、できればこの時点でスクールカウンセラー等に相談することをおすすめします。
わたしは行き渋りの段階で母から
「行きたい気持ちはわかるけど、やっぱり心と体調が一番大切だよ」
「ゆっくり休め〜」
と不登校を認めつつ、不登校でもOK宣言をもらえてすごくホッとしました。
子どもによっては
「体調が良くなったら学校に行かなきゃいけない」
と思い込み無意識に体調が悪化することもあるので、まずは正式に休むことを認めてもらえるとありがたいです。
- 登校できない日が出てくる
- 身体の不調を訴える
- 朝になるとからだが動かなくなる
- 夕方になると調子が良くなる
- 行きたいのに行けないと苦しむ
- 一度は登校を促す
- 行けなくても叱らない
- 無理やり連れていかない
- 様子を見る
- 病院を受診
- 学校やスクールカウンセラー等に相談
- 体調を気遣う
- つらい気持ちに共感する
- 子どもの話を聞く
- 子どもの話を遮らない
- 雑談を大切にする
- いつも通りに接する
- 子どもの声を無視すること
- 無理やり学校へ連れていくこと
- 欠席することに対して、叱ったり責めたりすること
- 原因は?どうして?と行けない理由を追求する
最初から親子の信頼関係があれば、回復はグッと早まります。
今回の記事とも被っていますが、超重要なので時間があればぜひ。
第二段階(悩み苦しむ時期)
第二段階は学校に行けなくなったあと悩み苦しむ時期です。
不安・罪悪感・悔しさ・虚しさ・悲しさなどのグチャグチャした気持ちにより、反抗的な態度をとることが多くなります。
暴れたり怒鳴ったりして感情を発散することもあるでしょう。
壁や障子に穴があくかもしれない、このときの対応ポイントは3つ。
1つめは恨みに耳を傾けることです。
混乱している子どもは、何かにつけて恨みや文句をぶちまけてきます。
言っている内容が事実ではないこともあるでしょう。
しかしこれらは罪悪感・苦しさ・悲しさなどの裏返し。
本気で親を嫌いだと思って、本気で親を憎んで言っているわけではありません。
だからこそ、まずはしっかりと子どもの話を聞いてください。
事実でなくても反論は控えましょう。
ひどい言葉が飛んでくると動揺する気持ちもわかります。
ですが、わたしは母の動揺した顔・困惑した顔・自分を責めている顔を見ると余計に腹が立っていました。
簡単ではないものの「辛いんだな」と共感しつつ、うろたえない・毅然とした姿勢が重要です。
2つめは献身的になりすぎないことです。
子どもが恨みをぶつけてきたり、暴力を振るったりすると「自分のせいでこうなった…」と感じ、甘んじて受け止めてしまう人もいます。
しかし共依存のような関係はNG。
ほとんどの場合、子どもは親のせいと思っていません。
それどころか親に対して「申し訳ない」と感じていることが多いです。
自分のせいで…と後悔するのではなく、子どもの気持ちを理解しようとすること。
不登校や引きこもりは世間が思っているよりキツイので、とにかく”共感“と”寄り添い“が求められます。
自分が悪いからと暴力を受け入れ、愛情を注いで献身的にお世話することは控えてください。
3つめは相談先を準備しておくことです。
恨みや暴力の矛先は母親に向くことがほとんど。
子どもがつらいのはもちろんですが、お母さんも逃げ場を失い余裕がなくなる可能性が高いです。
親がつぶれてしまわないためにも、はじめに相談先や避難先を見つけておきましょう。
- スクールカウンセラー
- 教育支援センター(適応指導教室)
- ひきこもり地域支援センター
- 児童相談所
- 精神科
- 心療内科
- 思春期外来
- 親の会
わが子から受けた衝撃をそのままカウンセラーにぶつけるイメージです。
話を聞いてもらったり吐き出したりするだけでも、ずいぶん心が軽くなると思います。
不登校から元気になるためには親の安定が必須なので、第三者をしっかり頼ってください。
相談先や専門機関についてはこちらの記事に詳しくまとめています。
ちなみに第三者に相談をしても
絶望的に理解がなかった…
相談にのってくれなかった…
というケースも多いでしょう。
いくら専門機関でも全員が理想的な対応をしてくれるわけではありません。自分に合う合わないもあります。
もし最悪な人に当たったら「ここはダメだ」と割りきって次の機関に相談してください。
また、なんとか子どもを安心させたくて
学校に行かなくても大丈夫。
なんとかなるよ。
と伝えることもあるでしょう。
親子にいい関係性があるとき、これを伝えて子どもの心がラクになることもあります。
しかし、学校に行けていないつらさや不安がなくなるわけではありません。
安易な励ましをするだけでなく、気持ちに共感しながら寄り添い続けることが大切です。
言いたいことがあればアイメッセージ(ママはこう思う)のかたちで、意見を伝えるといいと思います。
劣等感を刺激する言葉や、恥をかかせる会話はNGです。
とは言っても、現実にはどんな声かけもウザいと感じる時期はあります。
とくに悩んでいたり些細なできごとがあったりしてしんどいとき。
例
- 罪悪感や劣等感がやばい
- 退学の選択を迫られている
- 友達のキラキラしたSNSを見た
- 同級生の話を耳にした
- 不安になる記事を見た
- 体調が悪すぎる
など
最高にいい声かけをしていても、心がキャパオーバーのときはすべて拒絶で、なんでも突っかかって、暴言・暴力が出てしまうんですよね…。
別に誰が悪いわけでもなく、こういうキツいときもあるよねって感じ。
子どもは子どもの事情で悩んでいるわけで、すべてを親に左右されてるわけじゃないですから。
心がギリギリのときは一旦離れてお互い冷静になるのが一番得策かなと。
まあ、親にもこういう余裕のないときってあると思います。
他人の何気ない一言で、心がグワンっとかき乱されるというか。
不登校でこれだけキツければ、
- 嫉妬するのも当然
- 他人の幸せを受け付けないのも当然
- アドバイスをウザく感じるのも当然
これは仕方ないです。
悪い感情でもないし、心の中なら何を思っても自由ですから。
ただそんなときこそ自分を大切に。
優しい言葉すらも攻撃的に感じてしまう、拒絶したくなる状態のときは、その気持ちをこじらせないためにも、
- SNSばかり見ていないか
- 日光に当たっているか
- 部屋を片付けているか
- 睡眠を確保できているか
- タンパク質不足になっていないか
- 鉄分不足になっていないか
などを要チェック。
余裕がなくなるのは重々承知ですが、いつも以上にセルフケアを大切にしてほしいなと思っています。
不登校になるとYouTubeを見たりマンガを読んだりゲームをしたり、お気楽にダラダラ過ごしているように見えるでしょう。
でも、心の中では「自分はダメだ」「どうしよう」「不安すぎる」「辛い、でも動けない…」など、どうしたらよいかもわからず暗闇の中で打ちひしがれています。
この時期に甘えだのサボりだの疑われると、どんどん親子の距離が離れていきます。
まずは子どもの苦しさを理解し、心の奥の部分に共感してあげてください。
この時期は昼夜逆転になることもあります。
昼間はみんなが活動している時間。
起きていると、他の人たちが普通にしていることを自分はできない現実を意識しなければいけません。
これが本当に苦しいんですよね…。
昼間の太陽の光は罪悪感・劣等感を増すばかり。
その結果心の負担を軽くするために、心が壊れないようにするために、少しずつリズムが崩れていきます。
そもそも夕方から夜の仕事もたくさんあるので「昼夜逆転を直さなきゃ!」と躍起になる必要はありません。
まあ昼夜逆転でもしょうがないか、くらいの気持ちで見守ることが子どものためです。
ただし、昼夜逆転しないことに越したことはありません。
規則正しい生活のほうが回復も早くなります。
年齢や関係性にもよりますが、できる範囲で昼夜逆転にならないような家庭のルールを作ることも大切でしょう。
ルールの一例
- 一緒に朝ごはんを食べる
- リビングでご飯を食べる
- 毎朝日光を浴びる
- 12時までに布団に入る
- ゲームは1日3時間まで
- 1日10分でもいいから勉強
とくに生活リズムをキープするための工夫は欠かせません。
不登校になると起きるのが難しくなりますが、そんなときに使ってほしいのが「トトノエライト」。
無理やり起こすのは信頼関係が崩れるのでまずはこういうグッズを活用してみてください。
- 反抗的になる
- 感情を爆発させる
- 親や先生を責める
- 暴力が出ることもある
- 学校の話を嫌がる
- 引きこもり気味になる
- ダラダラとした生活になる
- 罪悪感や不安で苦しむ
- 昼夜逆転になる
- 登校刺激はしない
- 朝は無理に起こさない
- 混乱していることを理解する
- 感情を受け止める
- ありのままのわが子を認める
- 心の奥の気持ちに寄り添う
- 子どもの話を遮らない
- アイメッセージで意見を伝える
- お願い形式で気持ちを伝える
- 専門機関に相談する
- 避難場所を見つけておく
- いつも通りに接する
- 「学校行きなさい」「将来苦労するぞ」といった言葉をかけること
- 昼夜逆転やダラダラとした生活に対して、理解しようともせずに怒ること
- 早起きや1日3食など規則正しい生活をさせることにこだわること
- 腫れ物に触るような対応をすること
不登校をなかなか受け入れられない…
このまま引きこもりになったら…
不安で不安でしかたない…
そんなあなたにはこちらの記事もおすすめです。
⇨【体験談】不登校でも大丈夫ってホント?学校に行かなくてもどうにかなっている話
※noteに移動します
第三段階(エネルギー補充期)
第三段階はエネルギーがゼロの無気力な時期です。
不登校からしばらく経つと、少しずつ感情の混乱が落ち着いてきます。
しかし一向に元気になる様子はありません。
一日中寝ている、ボーッとしている、ご飯を食べない、お風呂に入らない、歯も磨かないなど、
- こんな子ども見たことないんだけど?
- 成長期なのにこんな生活して大丈夫なの?
と心配になると思います。
しかもこの時期はとにかく長いです。
年単位で続くこともあるでしょう。
変化がない日々で不安になると思いますが、子どもはゆっくりと心にエネルギーを補給しています。
かたつむりのペースですが、家庭を安全な場所とみなし充電している最中です。
不登校の子どもはエネルギーがゼロ、さらに予備もなくなっている状態なので、回復に時間がかかるのは当然ですね。
あなたも疲れ果てたとき、食事やお風呂すらハードだった経験があるはず。
それでも丸一日ずっと寝ていればエネルギー回復したと思います。
不登校の子どもはこのような状態が長く続いている感じだと思ってください。
この時期のポイントはとにかく信じて見守ること。
「おはよう」「ご飯できたよ」などの声かけはしますが、どうするかは本人に任せます。
とにかく眠る時期なので無理やり起こすのも控えましょう。
ただし返事はなくても嫌だと言われても、雑談は続けてください。
挨拶・天気・ニュースなどなんでも構いません。
よそよそしくない、しょうもない、いつも通りの会話をすることで、安心できる居場所になります。
あとは心配しすぎないことも大切です。
わが子がこのような状態になったら心配するのも当たり前ですが、不安のあまり余計なことを言うと子どもを追い詰めます。
まったくご飯を食べない、自傷行為が激しいなど緊急事態でなければ、
- 助言せず
- 正論を押しつけず
- 叱責せず
- 否定せず
- 疑わず
共感と寄り添いを一番に。
心配や不安でグラグラした気持ちは第三者に吐き出しましょう。
とにかく「安心できる環境」と「信頼関係」はすべての土台。
マズローの欲求5段階説を見ても、安全・安心が満たされていないとその上にある所属(学校)にはいけないことがわかります。
安全・安心な環境があって始めてゆっくりとエネルギーチャージができるものです。
このまま引きこもりにならないか…と不安になったら、この図を思い出してくださいね。
第二段階でも書きましたが、親の安定・安心は前に進むための必須条件ですよ。
お母さんお父さんが
- 無理しないこと
- きちんと休むこと
- 完璧じゃない姿勢を見せること
こういった環境こそが子どもにとって居心地のいい場所につながるでしょう。
引きこもり気味であんまりご飯を食べてくれないと栄養面が心配。
いくら「心配しすぎないで…」と言われても、やっぱり健康は気になりますよね。
そんなときはベースフードという栄養食がおすすめです。
少しでも栄養をとってもらえれば親の不安も減るでしょう。
クッキーやパンなら気軽に食べられるのでわたしも愛用しています。
あと不登校をサポートするためには親の余裕が命。
ストレスMAXだと余計なことを言ってしまい信頼関係がガタガタになるので、時短や手抜きが欠かせません。
できるだけ子どものエネルギー回復を早めたいなら、時短グッズを使ってママ(パパ)の負担を減らしてください。
手抜きに罪悪感があるママパパもいますがまったく悪いことじゃないですからね。むしろ必要なことです。
わが家でも使っていた、試して損はしない2つのサービスを載せておきます。
子どもが不登校になったらとにかく親が人生を楽しむことが大切です。
子どもがこんな状況なのに無理…
楽しむなんてできるわけない…
こっちは忙しいし大変なのに、何言ってんの…
と思われる人もいるでしょう。
しかし親の心配・不安・焦り・余計なひとこと・行け行けオーラは子どもにとって、重荷にしかなりません。
「自分のせいで家族が苦しんでいる…」と感じれば、自分の存在価値に悩み、罪悪感を抱き、絶望し、エネルギー回復も遅れます。
不登校からの回復には安心できる環境が一番。
親が「子どものために!」と頑張っても、いいことは100個中2個くらいしかありません。
難しいのは承知ですが、
せめてこれを読んでいるあなただけは、
自分を犠牲にしないで、
自分を大切にして、
自分のために生きてほしい…。
「人生っていいものだよ」と思える姿を子どもに見せてあげてほしいです。
ありのままの自分を受け入れることが、ありのままのわが子を受け入れることにつながりますよ。
- 一日中寝ている
- スマホやゲームをしている
- 食事をしない
- 偏食になる
- お風呂に入らない
- 部屋にこもる
- 無気力
- 日常の声かけをする
- 雑談をする
- 口出しや手出しはなるべくしない
- 過干渉しない
- 心配しすぎない
- 本人に任せる
- 社会の厳しい目からわが子を守る
- 第三者をしっかり頼る
- 親が人生をそれなりに楽しむ
- セルフケアを大切にする
- 心配すぎるあまり、余計な口出し・手出しをすること
- 子どもを無理に動かそうとすること
- 一切声かけをせず、放置すること
- 子どもに不安やイライラをぶつけすぎること
第四段階(エネルギー再活性期)
第四段階はエネルギーがたまってきてゆっくりと動き出す時期です。
動き出すとはいっても勉強ができるようにはなりません。
ゲームを楽しくできるようになったり、好きなことに関心を示したりする程度です。
それでも第三段階から比べたら大きな一歩でしょう。
引きこもり気味なのは変わらず、自分の部屋にいることも多いと思います。
親からしたら「せっかくの青春を引きこもりとゲームなんて…」と悲しくなるかもしれません。
しかしこの時期はとても大切。エネルギーをためながら自分と向き合う期間です。
現実から目を背けず、今までの価値観や考え方と向き合い成長していきます。
せっかくの青春を休みに使っているならとことん休めをモットーに焦らず進みましょう。
臨床心理学者の河合隼雄先生はこの時期を「サナギの時期」と表現しています。
- このサナギ生きてるのかな?
- 大丈夫かな?
と何度もつついたり、早く蝶になってほしいから暑くしたり、余計なことしたら死んでしまう可能性が高いですよね。
植物だって水をあげすぎたら枯れてしまいますよね。
美しい蝶となって羽ばたくためには、あまりいじらないことが一番。
ひきこもりをはじめとする思春期の問題に対しては、「周囲がどれだけ待つことができるか」が、その後の経過を大きく左右します。したがって家族の基本的な構えとしては、「本人の人格的な成熟を、ゆっくり伴走しながら待ち続ける」ことが必要となります。「焦り」は何ももたらしません。むしろ、慢性的な焦りこそが「ひきこもりシステム」を強化してしまいます。
出典:斎藤環「改訂版 社会的ひきこもり 」(2020)PHP研究所 p.140
とくに中高生の男子はいっそう強く見守りが求められます。
口出しや手出しはなるべくせず、コミュニケーションを大切に、子どもを信じて見守ってあげてください。
信じるパワーは必ず伝わります。
この時期の対応のポイントは3つ。
1つめはいっぱい甘えさせてあげることです。
先回りはよくありませんが、子どものほうから甘えてくるときは心から受け入れてあげてください。
「◯◯やって〜」と言われたときに「自分でやりなさい」と言わずにやってあげるのもいいと思います。
場合によってはわがままを受け入れることも必要でしょう。
「◯◯すべき」や「◯◯しなさい」など、いわゆる”躾”はあまり考えなくていいと思います。
そもそも「◯◯すべき」は誰のためか?
本当に子どものための言葉なのか?
もしかしたらそれを言うことであなた自身がラクになりたいだけかも。
もしかしたらあなたの価値観を押し付けているだけかも。
「◯◯すべき」と言いたくなったら、本当に子どものためになっているかを考えてもらえたら嬉しいです。
2つめは子どもが好きなことに関心を示すことです。
自分の好きなことに興味をもってもらうこと、一緒に楽しんでもらう経験はエネルギー回復につながります。
ゲームばかり…なんて思わないで、話を聞いたり対戦したりしてみましょう。
大人だって自分の趣味に関心をもってもらえると嬉しいですよね。
雑談もたくさんしてください。
3つめは心を満たす声かけを続けることです。
子どもに対する声かけと聞くと「すごい」「えらい」などが真っ先に浮かぶと思います。
ですが、これは縦の関係の言葉。
心を満たすには、
- ありがとう
- 嬉しい
- 助かったよ
- 幸せだよ
など横の関係の言葉をたくさん伝えてあげてください。
「あなたが生きててくれて嬉しい」
「あなたの人生を精一杯応援する」
という気持ちはいくらでも伝えてOKですよ。
日常の声かけも大切です。
子どもはわがままなもので過干渉を嫌がりますが、声かけされないのも見捨てられたと感じてしまいます。
ゲームやスマホばかりの昼夜逆転生活でも、日常の声かけは続けてください。
たとえ「話しかけるな」「うるせぇ」と文句を言われてもです。
最低限の注意(夜中に大声を出してはいけないなど)もきちんと伝えましょう。
イライラなど感情にまかせた怒りではなく、親として真剣に叱ることが求められます。
あまりにも舐めた発言・許されない態度をしたら、指摘をしたり、親の威厳を示したりすることも必要です。
とにかくオドオドしないこと、腫れ物に触るような態度だけは控えてください。
また学校の宿題やイベント、留年のことなど、事務的な連絡も行ったほうがいいと思います。
嫌がっても、イライラしても、それをどうするかは子どもの問題だからです(課題の分離)。
ただ、あまりにも子どもが苦しんでいたり、自傷行為をしていたりする場合は、事務的連絡も控えめにしたほうがいいと思いますが…。
エネルギーチャージをしているあいだは親がイライラするような行動が増えます。
上から目線はもちろん、ニートみたいな生活をしているくせに「何様だっ!」と思うような発言。
とにかくイライラするかもしれません。
でも、これらは不安からくる行動。
こんなぼく(わたし)だけど見放してないよね?と確認しています。
突っ込まず、怒らず、「見放していないよ」「大丈夫だよ」という気持ちで関わっていただけたらありがたいです。
ほかにも赤ちゃん返りのような行動が増えると思います。
- 一緒に寝たがる
- まとわりつく
- 話を聞いてほしがる
- 駄々をこねる
などな、「この歳にもなって…」と感じることばかりでしょう。
ですが、退行は元気になる過程でよく起きること。
心配しすぎずできる範囲でつきあってあげてください。
ただし過度なスキンシップはNG。
小学校低学年以外は言葉の甘えを受け入れるくらいにしたほうがいいと思います。
- ゲームやスマホばかり
- 好きなことに熱中する
- 昼夜逆転生活
- 甘えてくる
- 赤ちゃん返りする
- わがまま
- イラつく行動が増える
- 日常の声かけをする
- 雑談をする
- 口出しや手出しはなるべくしない
- 干渉しすぎない
- 甘えさせてあげる
- 子どもの好きなことに関心をもつ
- 心を満たす声かけを続ける
- 不安な気持ちに寄り添う
- 見放さない姿勢を見せる
- 事務的な連絡は淡々と行う
- 「わがままだ」「甘えすぎだ」と突き放し、共感的な関わりをしないこと
- 不安すぎるあまり、余計な口出し・手出しをすること
- 一切声かけをせず、放置すること
- 赤ちゃん返りした子どもを突き放すこと
「甘え」と「甘やかし」の違いはこの記事で触れています。
「甘えじゃないか」と不安になったらサクッと目を通しておくといいかもしれません。
第五段階(再活動希望期)
第五段階は気持ちが外に向き始めて活動に意欲が出てくる時期です。
この時期に入ると「ひまだなぁ」「勉強しようかなぁ」など前向きな言葉が出てきます。
今までは嫌がっていた学校の話も自分からするようになるでしょう。
- 会話が増えたり
- 買い物に行くようになったり
- 推し活を始めたり
親にとっては嬉しいことばかり。
これらはまぎれもなく元気になってきている証拠です。
とりあえず暗黒期を抜け出せてホッとしますね。
ただし、これだけは要注意。
わが子に対して欲を出しすぎないようにしましょう。
子どもにいい変化が起きたり、できることが増えたりすると、急に高望みをしてしまうことがあります。
とくに意識していなくても自然と「もっともっと」と思いが湧き出て、子どもを苦しめてしまうかもしれません。
あれだけ楽しいことやってるんだし遊びにも行ける。
そろそろ勉強は?
そろそろ学校は?
と思う気持ちもよくわかります。
でも絶対に焦らないで。
今までの苦しい時期を乗り越えて「やっとここまできた!」と言いたくなりますが、ここからが本当のスタートです。
どんなときも子どもの小さな一歩に価値を感じてください。
対応のポイントは3つあります。
1つめは前に進むために情報提供を始めること。
外の世界に向いていくための手段や方法を押しつけにならないように軽く提示します。
最初はハードルの低いところから。
できるだけ元気なときに淡々と情報を伝えましょう。
見守りが大事とはいえ、年齢やタイプによっては、
- 時間だけで解決する
- ただ待っていれば動き出す
とは限りません。
安心感のある関係のもと視野を広げていくのは必要なことです。
伝えたときに嫌がったそぶりを見せることも多いですが、その情報はきちんと子どもに届き、頭の片隅に残ります。
視野が広がるきっかけになるケースも多いので「余計なこと言った…」と過剰に落ち込むことはありませんよ。
2つめは子どもとの雑談を増やすこと。
今までいろいろあった親子の場合、
親と話すこと=苦しい
親と話すこと=怒られる
などマイナスのイメージがついている可能性があります。
親と話すたびに心臓がドキドキする状態はよくありません。
なにげない雑談を増やして親子の会話を安心できるものにしてください。
そのなかで
「あなたには生きる力があるんだね」
「困難を乗り越える力があるんだね」
「成長したね」
「自慢の息子(娘)だよ」
「ひまなら何かやってみる?」
「こんなのあるんだけど…」
「◯◯だとお母さん助かるな〜」
みたいに話を広げてみましょう。
できれば第一段階から雑談を大切にしてほしいです。
3つめは子どもの選択を応援すること。
「これは難しいだろうな〜」
「失敗するだろうな〜」
「本当は学校に行ってほしいな〜」
と思ってもわが子の選んだ道を尊重してあげてください。
最終的に人生の選択をするのは子ども自身。
親ができるのは、安心して失敗できる環境を用意することでしょう。
わたしは中学不登校歴があって進学にあたっては
- もっと近くの学校
- 偏差値が低めの学校
- 通信制高校
などを勧められました。
でも、目標がある以上そんなアドバイスまったく耳に入らない。
結局目指していた全日制高校に行き中退。
「だから言ったじゃん」と言いたくなりますが、実際にやってみる&失敗してみないと本人は納得できないんですよね。
心配でも心配でも
- この子なら大丈夫
- 上手くいくかもしれない
- 失敗してもいい経験になる
と信じて見守ってもらえると嬉しかったです。
ただし、お金や時間に関してはきちんと伝えたほうがいいと思います。
とくに中学生以上であれば子どもを信頼して、冷静に現実的な状況を伝えるべきです。
親が無理して余裕をなくすことが一番よくありませんからね。
この時期は子どもの動きが増えて期待・嬉しさ・不安・悲しさが波のようにおそってきます。
しかし、どんなときもサラッといつも通りに対応することが大切です。
わたしも不登校時代、親が安定していて救われました。
久しぶりに外出したり試験に行ったりしても、喜んだりすることがなくいつも通り。
逆に行けなくてもいつも通り。
合格したと伝えれば「おめでとう!ゆずなら大丈夫だって信じてたよ」くらい。
外出したことで思い切り喜ばれたら、外出しなきゃいけない、外出しなきゃ親の期待に応えられないって感じてしまいますからね。
いつも一定でいてくれたから一つ一つの出来事は関係ない、ありのままの自分でいいんだなって思えた気がします。
買い物したりライブに行ったり、この時期に気になってくるのがお金の問題。
せっかく元気になってきたから…でもあげすぎは…と悩むと思います。
お小遣いをあげるときのポイントは3つです。
- 年齢に合わせて、十分な買い物ができるくらい渡すこと
- 基本的には追加であげないこと
- 銀行口座に振り込むこと
家庭のお財布事情にもよりますが、十分な買い物ができる額は渡したほうがいいでしょう。
買い物などの消費活動は社会とのつながりをつくります。
引きこもりや不登校の子どもにとって必要な社会活動ですね。
その代わり追加であげないこと。
明確な線引きをしてねだられたときに揺るがない姿勢が大切です。
また、お小遣いは銀行口座に振り込むのもいいでしょう。
外出のきっかけになるし社会勉強にもなりますからね。
- 「ひまだなぁ」「○○しようかな」と言うようになる
- 会話が増えてくる
- 気持ちが外に向き始める
- 生活リズムが整ってくる
- 少し勉強を始める
- 少し運動を始める
- 学校の話をする
- 家の手伝いをする
- 部屋の掃除をする
- 自分の好きな買い物にいく
- 推しのライブにいく
- 次のステップに進むための情報収集をする
- 情報提供する
- 見通しと希望を与える
- 雑談をする
- 勉強環境を整える
- 決めるのは本人に任せる
- やりたいことを応援する
- いつも通りに接する
- 元気になってきたわが子に対して「勉強は?」「学校は?」など欲を出しすぎること
- 期待しすぎること
- 不安や嬉しさなどを表情やオーラに出しすぎること
いきなりの社会復帰は難しいので、サポートが充実している習いごとや家庭教師の情報を集めておくといいでしょう。
好きや得意を伸ばしたり第三者と関わったりすることは、一歩踏み出すきっかけになりますよ。
子どもは突然「◯◯やりたい」「◯◯行きたい」と言ってくるので、早めに情報収集しておくことをおすすめします。
第六段階(リハビリ期)
第六段階は不安定ながらも活動を再開する時期です。
目に見える活動が始まるので親もホッとするし、子どもの気持ちもラクになります。
前に進んでいる感覚があって安心するでしょう。
活動の再開は学校復帰とは限りません。
- ホームスクールを始めたり
- 適応指導教室に通い始めたり
- アルバイトを始めたり
自分にあった方法で少しずつ社会復帰していきます。
小さなことでも上手くいったこと・成長していることがあればたくさん認めてあげてください。
大きな成長やすごいことがあれば、いっぱい驚いてあげてください。
ただしすべてが順調に進むわけではありません。
活動を再開してからも体調不良を訴えて休みがちになることがあります。
学校へ行き始めたからもう大丈夫だと思っていたのに…
と焦るお父さんお母さんも多いでしょう。
でも、今までと違うことをすれば疲れるのも当然。
休むことでむしろ無力感や自分はダメだという気持ちが強くなってしまいます。
体調に寄り添いながらも疲れるのは当たり前、休み休みで進んでいこうとする姿勢が大切です。
やわらかくわが子の背中を支えてあげましょう。
わたしの場合、
「無理しなくていいからね」
「辛かったら帰っておいで」
「先生に伝えておくからキツかったらやらなくて大丈夫だよ」
「保健室にも連絡しとくね」
「この選択肢もあるからね」
と逃げ道を示してもらえると頑張れました。
ときには急に頑張りすぎてエネルギー切れを起こすこともあります。
- せっかく復帰したのにまたダメだった…
- 自分はもう無理だ…
と挫折感を味わい、第二段階くらいまで戻ってしまうことも考えられるでしょう。
ですが、せっかくやる気がある子どもを親が止めるのは困難です。
エネルギーの使い方やどういう状況なら生きやすいかを学んでいくことも必要。
時間はかかっても、ここでしっかり自分と向き合うことが将来につながります。
きっと前よりは立ち直りも早いはず。
失敗してもOK!という気持ちで、いつでも安心して休めるあたたかい場所を用意することが親にできることではないでしょうか。
- 実際に活動を始める
- 登校を始める
- 学習を始める
- 運動を始める
- アルバイトを始める
- 休みながら進んでいく
- 試行錯誤する
- 笑顔が増える
- 情報提供する
- 具体的な提案をする
- 暖かく見守る
- 軽く背中を押す
- 遅刻欠席早退しても責めない
- 休むのは当たり前くらいの感覚で
- 失敗してもOKという気持ちで
- いつも通りに接する
- 子どもが失敗すること・エネルギー不足になることを怖がって、後ろ向きな対応ばかりすること
- 期待しすぎること
- 不安や嬉しさなどを表情やオーラに出しすぎること
第七段階(完全登校、社会復帰期)
第七段階は社会と関わりながら生活を送れるようになる時期です。
正直いうと全員がもとの学校に戻れるわけではありません。
環境を変えて学校に戻る人もいれば、学校以外の道で頑張る人もいます。
ときには
本当にこれでよかったのか…
と思うこともあるでしょう。
でも、たしかなことが1つ。
あなたはそのときその道が最善だと思って選択したはずです。
後悔するのではなく、選んだ道をベストにする気持ちで生きていくことが大切ですよ。
- 安定して登校する
- 社会と関わりながら生活する
- 自分で決めて行動する
- 未来に向けて行動する
- 不登校の時期を振り返る
- 結果ではなく過程や行動を褒める
- わが子にあったサポートを続ける
- わが子を信じ続ける
- 上手くいかないことがあったとき、わが子を責めること
- 欲を出しすぎること
回復にはどれくらい時間がかかる?
結論からいうと回復にどれくらいの時間がかかるかは人それぞれです。
1ヶ月程度から5年以上までとにかく幅があります。
もちろん対応によって回復スピードに差は出てくるでしょう。
しかしどんなに適切な対応をしていても、元気になるまで1年以上かかっている子は多いです。
わたしの経験からすると、不登校からの回復は半年から一年単位の時間を要するもの。
とくに不登校初期に無理をしていると、回復まで2、3年かかることも珍しくありません。
不登校ってそういうものなんですよね。だから、焦らない焦らない。
長期的な視点から子どもを見守ってあげてほしいです。
不登校の回復過程の注意点【必見】
最後に回復プロセスにおける注意点をまとめていきます。
ここまで長かったのでお疲れだとは思うのですが、めちゃくちゃ重要なのでサクッと目を通していただきたいです。
一直線には進めない
不登校から回復する過程はまるで波のよう。
上がっては下がり上がっては下がりを繰り返します。
最近いい感じと思っていればドーンと下がるし、もうダメだと思っていたら急に元気になるものです。
絶対に一直線には進めません。
わが子が不登校になったらこの波を覚悟して、長い目で見守ることが大切だと考えています。
また悪くなるんだろうな、また元気になるんだろうなとわかっていれば、少し心に余裕ができるはず。
波がくるということは少しずつ前に進んでいる証拠でもあります。
波を避けようと思わないで正面から立ち向かっていきましょう。
1つ1つ乗り越えるごとに子どもは確実に成長していきますよ。
3歩進んで2歩下がるのが当たり前。ゆっくり焦らず進んでくださいね。
深刻な状態なら早めに相談&病院へ
精神疾患や発達障害(神経発達症)があると本人の力だけではどうしようもできません。
薬やカウンセリングなど適切なアプローチが必要になるでしょう。
- 発達障害を背景として不登校になっている
- 精神疾患を背景として不登校になっている
- 不登校の二次障害により精神疾患を発症している
このような可能性があるときは早めに病院を受診してください。
とりあえず親だけでも専門機関に相談することをおすすめします。
- 日常生活がまったくできない
- 自責の念が強すぎる
- 自傷行為をする
などのサインがあればとくに注意しましょう。
歯磨きできない、お風呂に入れないという状態はうつに近いです。
ただし、子どもの場合は薬ではなく環境調整がメインになります。
専門家に相談しつつ、不登校の対応と同様に安心して休める環境を整えることが大切です。
不登校という事実に目を奪われて、その背景にある本質を見逃さないでください。
罪悪感が弱い不登校に注意
上で紹介したような回復パターンをたどるのは神経質でまじめなタイプがほとんど。
罪悪感や不安が強いタイプです。
しかし、不登校には別のタイプもあります。
とくに罪悪感が少なくて、学校に行けないことを人のせいにする場合は注意してください。
このタイプは見守っているだけでは学校復帰(社会復帰)できないことも多いです。
- 休んでいることに違和感がない
- 罪悪感が少ない
- 五月雨登校が続く
- 行事や楽しい授業は行ける
- 放課後や休日は友達と遊べる
- 引きこもりにはならない
- ゲームをしているときだけ機嫌がいい
- 人のせいにする
- 文句ばかり言う
- 元々の性格がマイペース
- 嫌なことがあると逃げがち
一見するとわがままで自分勝手でしょう。
こんな調子なので家族や先生からはサボっている甘えていると思われ、なかなか共感されません。
元気そうですし、落ち込む不登校に比べて回復は早そうに感じます。
しかし、実際はこちらのタイプも同じくらい深刻です。
このタイプは自分が意識しないところで失敗を強く恐れていたりします。
さらに、自分と向き合う力がないために現実逃避ばかり。
人のせいにする態度について池田久剛先生は、
その自我の強さが育っていないために、失敗を恐れ、些細な指摘を侮辱されたと被害的に受け止めやすく、他罰的な怒りが生じやすいのだと考えられます。
出典:池田久剛(2021)「不登校の理解と支援 4つの視点によるアプローチ」金子書房 p.69
と書かれています。
また、楽観的に見えて実は打たれ弱い部分については、
恐らく、本来は自我が年齢不相応に未熟で弱いために、尊大に見える仮の自分の殻を作り、自我が傷つかないように守ろうとしているのではないかと思います。
出典:池田久剛(2021)「不登校の理解と支援 4つの視点によるアプローチ」金子書房 p.68
と指摘されています。
未熟な自分を守るために仮の自分という殻をつくっている状態ですね。
そして、原因については
発達の過程において必要な共感的関わりを、十分得ることができなかったのではないか
出典:池田久剛(2021)「不登校の理解と支援 4つの視点によるアプローチ」金子書房 p.68
と考えられています。
今まで共感されなかったら、共感されないような尊大な態度をとる…
その態度のせいでまた共感されない…
この悪循環。
親はたっぷり愛情を注いできたつもりでも、子どもが求めている愛情とマッチしていなかったり、子どもの受け皿がザルだったりすると、未熟な心になることが多いです。
よくあるのが「過干渉」。
子どもを否定し親のやってほしいことを押しつけてきた結果、愛情が伝わっていない場合ですね。
もちろん子どもの性格もあるので、すべてが親のせいというわけではありません。
このタイプと関わっていくのは正直イライラするでしょう。
でも、このような態度に悪意はありません。
励まし共感してほしいときに、そうしてもらえなかったことは辛かったはず。
今からでも親子の信頼関係のもとに自我を成長させていくことが必要ではないかと考えます。
第三者を交えて、積極的に関わっていくことも大切かもしれません。
ゲームばかりのわが子を「甘えだ」「サボりだ」と一蹴するのではなく、親子で一緒にゲームをやって雑談したり共感したりすることが求められるでしょう。
興味のあることから少しずつ成功体験を積み重ねていくこと、失敗しても大丈夫だという感覚をつかむことも必要です。
まずは安心できる環境をつくり、信頼関係を築き、伴走者として根気強く関わってもらえたら嬉しく思います。
まとめ:不登校の回復過程には7段階のパターンがあるから参考にしよう
不登校から回復するポイントは、きちんと現実に向き合うことだと思っています。
無理にポジティブに考えて現実から目をそらすのはNG。
苦しくても親子で現実に目を向けていくことが、たとえ時間はかかっても未来につながるでしょう。
不登校になってせっかくの学生時代が…
と涙が出てくる人もいるかもしれません。
しかし、わたしは人生に無駄なことなんてないと思っています。
不登校だって自分や家族と向き合うために必要な時間。
この時間に価値を見出せるのは今ではないかもしれないけど、悩んで苦しんで向き合った経験はきっと人生に深みを与えてくれますよ。
最短ルートから脇道にそれた時間、大切にしてほしいなと思います。
この記事を通してあなたの不安や焦りが10%でも少なくなれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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※参考文献
NPO法人コミュニティ総合カウンセリング協会「不登校の7段階とは」
佐賀県教育センター「不登校の子どもへの理解と支援のリーフレット」
池田久剛(2021)「不登校の理解と支援 4つの視点によるアプローチ」金子書房