こんにちは、ゆずです。
今回は不登校の行く行く詐欺についてお話ししていきます。
日曜日の夜は「明日、学校行く」と言ったのに、月曜日の朝になると調子が悪くなったり、起きられなくなったりするのは不登校あるある。
行くって言ったから準備したのに…
今日こそはって期待したのに…
365日振り回されてウンザリしているお父さんお母さんも多いでしょう。
早く休むと決めてくれればラクだから「じゃあ休めば」と声をかけても、子どもはハッキリと返事をしないことがほとんど。
もちろん親もキツイですが、子どもの心に寄り添った対応が求められます。
「行くの?」「行かないの?」
「行きたいならなんで行かないの?」
と責めるだけでは、信頼関係がガタガタに崩れてしまう可能性が高いでしょう。
この記事ではわたしが
- 学校に行きたいのに行けなかった体験談
- そのとき嬉しかった対応
などをまとめました。
毎日朝から地獄…
平日の朝が憂鬱…
行く行く詐欺でため息が止まらないママパパは最後までご覧ください。
- 子どもの「行きたい」は嘘ではない
- 信じることがエネルギー回復の第一歩
- 学校に行くことは思っているよりも難しいと自覚しよう
- 負担にならない程度にサポートを続けることが大切
「行きたい」という気持ちは本当
はじめにこれだけは伝えたいのですが、子どもの「学校に行く」「学校に行きたい」という気持ちは本当です。
決して嘘ではありません。親を騙そうとして言っているわけでもありません。
わたしは何人もの不登校に会ってきましたが、「学校行きたくない」と言っている子でさえ心のなかでは
- できれば学校に行きたい
- 学校に行かなきゃ
という思いをもっていました。
何回行く行く詐欺をしていようとも、前日の夜や休みの日に「明日は行くから」「学校に行きたい」と言っていればそれは本心。
まずは、学校に行きたいと思っている子どもを信じてあげてください。
子どもが「学校行く」などと言ってきたら、うんうんとうなづいていればOKです。
ちなみに「行く」「行きたい」に込められた意味は人それぞれ異なります。
自分のため、親のため、将来のため…いろいろあるでしょう。
- 普通の生活をしたいから行きたい
- みんなと同じがいいから行きたい
- 学校は行かなきゃいけないところだから行きたい
- 進学や就職で困るから行きたい
- 将来が不安だから行きたい
- 親の期待に応えたいから行きたい
- 親を困らせたくないから行きたい
【体験談】不登校のわたしが学校へ行きたいのに行けなかった理由
わたしも不登校時代は、行きたいのに行けない理由がサッパリわかりませんでした。
しかし後になっていろいろ分析していくうちに、「多分こうだろう」と学校に行けなくなった理由が見えてきたので、ここで紹介します。
わたしの行く行く詐欺の体験談として、ぜひ参考にしてください。
わたしは学校が嫌いではありませんでした。
今思い返しても、勉強ができて、学級委員をやって、なんでも器用にこなして、友達もいてヘラヘラやっていたと思います。
先生も好きでした。
でも、些細なできごとをきっかけに、学校へ行けなくなったんです。
学校に行こうとすると体が動かない毎日。
おそらくですが、わたしは生まれもった気質や体質、考え方や思考の癖により、他の人ならストレスに感じない小さなこともストレスに感じていたのだと思います。
例えば、友達との会話、授業中の発言、テストなど。
すべての状況において無意識のうちに
- 失敗したら
- 間違ったら
- 成績が落ちたら
- 周りからどう思われているか
などを考えていた気がします。
1つ1つのことを考えすぎるせいで、ずっと頭を使い、つねに身体が緊張していた感じです。
感覚過敏で集団生活も苦手でした。
たっぷり寝ないと生きていけない体質なので、睡眠時間が足りなかったことも大きなストレスだったと思います。
振り返ってみると、目にみえて大きなストレスはありません。
とくにトラブルもありません。
一つ一つは気がつかないほど小さなものです。
しかし、1ヶ月…2ヶ月…3ヶ月…そして1年と長い時間をかけて小さなストレスが蓄積していった結果、いつの間にか限界を超えてしまいました。
10円貯金をしていたら、知らないうちに1万円たまっていた感じですね。
動物の本能からすると、限界を超えるほど強いストレスを感じるときは危険がそこら中にあるということ。
生き延びるためにはそこから逃げる必要があります。
危険いっぱいの環境から遠ざけるために、脳が「学校は危険」「脅威だから近づくな」と判断。
そのせいで、学校に行こうとすると身体が動かなくなりました。
(ポリヴェーガル理論でいう、凍りつきモードだと思います)
でも、自分はそこまでストレスを抱えている感覚がありません。
ストレスが目に見えないほど小さいので、限界を超えている自覚がないんです。
お財布の10円玉が1枚増えていても気がつかないのと同じでしょう。
そうすると意識と無意識の間にギャップが生まれてしまいます。
意識では行きたいと思っているのに、脳の奥の本能的な部分がいうことをきいてくれない…。
どれだけ学校に行きたくても、本能には逆らえないので、
- 行きたいのに玄関から出られない…
- 制服に着替えられない…
- 行こうとすると吐きそうになる…
- 行く準備をするとお腹が痛くなる…
- どうしても朝起きられない…
など学校を避けるような現象が生じていたのだと考えています。
うつ病とかでもありますよね。
ベッドから起きられない、準備していると涙が出てくる、職場に向かう足が動かなくなってしまう、などなど。
不登校もこれと同じ感覚だと思っています。
さらに、こういう症状は夕方になると治るので「やっぱり明日は行けるかも」と勘違いしがち。
ずっと休んでいる罪悪感、親に迷惑をかけている申し訳なさもあるので、夜になると
明日は行けそう
学校に行きたい
と宣言していました。
このときは本気で学校に行けると思っています。
しかし、当日の朝になるとやっぱり動けない…。
でも、当時はよくわからなかったので、ギリギリまでなんとか行こうと試みていました。
そして諦め、夕方にはまた少し元気に。
仕事から帰ってきた母に「体調どう?」と聞かれ、「もう大丈夫」「明日は行く」と言ってみる。
これが不登校初期のわたしの行く行く詐欺でした。
学校に行きたいのに行けない…苦しいときは母の共感に救われた
学校に行きたいのに行けない…この状況はとても苦しかったです。
長く休めば勉強が遅れてしまう。成績も下がってしまう。
友達からなんて思われるかわからない。進学にも響くかもしれない。
とにかく不安でいっぱいです。
- 行きたいのになんで行けないんだろう…
- みんなが当たり前にできることもできないなんて…
毎日のように自分を責めていました。
甘えているわけでもサボっているわけでもありません。
できることなら行きたい、頑張れば行けそうな気がする、だからギリギリまで頑張る、でもやっぱり今日も学校に行けなかった…。
わたしがそんな日々を抜け出せたのは母のおかげです。
母は最初こそ
「今日も休むの?」
「また体調悪いの?」
「休みたいなら休めば」
と微妙な顔をしていたものの、わたしがマジできつそうなことがわかると「大丈夫?」「学校行けないの辛いね」と声をかけてくれました。
ただ「休めば」と言うのではなくて、
- 行きたくても行けないの辛いね
- 思い通りにならないの苦しいね
と共感しながら、体調に寄り添ってくれたことが本当に嬉しかったです。
そして早いうちに
辛いなら学校を休んだほうがいいと思うな
心と体の元気が一番
と強めにアドバイスをくれたので、わたしも覚悟を決めてしっかり休むことができました。
朝の行く行かない論争がなくなると、余計なエネルギーを使うことがありません。
明日も休むことが決まっているから朝が来るのも怖くない。
小中学生時代はほとんど昼夜逆転にならず、ゲームをしたりときどき勉強したり、どん底まで落ちずに生活できたんです。
苦しいときの共感とわたしのことをいちばんに考えてくれたアドバイスは安心感と説得力がありました。
行く行く詐欺を繰り返してるわが子にストレスが溜まっているあなたへ
昨日「行く」って言っていたのにまた行けなかった…。
これで何十回目だろう…。
行く行く詐欺を毎日のように繰り返されたら、イライラするし裏切られた気持ちにもなりますよね。
忙しい朝にダラダラしているわが子、行くか行かないかハッキリしないわが子を見ていれば、うんざりするのも当然だと思います。
しかし苦しくてどうしていいかわからないのは子どもも一緒。
わたしの体験談を読んでいただければわかると思いますが、行く行く詐欺にまったく悪気はないのです。
詐欺どころか
- 親に迷惑かけたくない…
- どうにかしたい…
と考えているからこその行動でしょう。
行きたいのに行けない…
そんなときは子どもの心に寄り添った対応が大切です。
行く行く詐欺を繰り返してるわが子にストレスが溜まっているあなたへ3つのヒントをまとめました。
きちんと本質を見る
子どもが不登校になったら、きちんと本質を見ることが必要です。
「行く」「行きたい」と言っているのだから…と無理に学校へ行かせることは控えたほうがいいでしょう。
たくさんのストレスを積み重ねてそれが限界を超えてしまった結果、学校に行けなくなっています。
この状態から学校に行けるようにするためには、
- エネルギーを回復する
- 成功体験を積み重ねて自信をつける
- ストレスを減らす方法を身につける
など多くのステップが必要です。
「行く」「行きたい」という言葉だけに囚われて
じゃあなんで行かないの?
といった対応を続けても不登校は解決しないでしょう。
たしかに「行きたい」という気持ちは本心です。
でも、人間の脳は「行きたいから行く」とすぐに行動できるほど、単純なものではありません。
例えば「ダイエットしたい」「痩せたい」と言っている人に対して、「じゃあ痩せれば」「運動すれば」と言っても、90%以上の人はなかなか実行しないですよね。
これと同じです。
人の心理は複雑で「〜したい」と思っていても、すぐにできるわけではないのです。
まして、学校に大きなストレスを感じていれば、身体が動かないのも当然でしょう。
わが子が行きたいのに行けない…という状況になったら、まずは行けないのが当たり前だと思うこと。
わたしの調査からすると、90%は行けないので期待しないことをおすすめします。
まあ、そうはいっても、前日に「行きたい」と言われれば準備も必要になりますし、当日「やっぱり行けない」となったら頭にきますよね。
わが家ではイライラやストレスを減らすために、
- 7時までに起きられなかったら休む
- 火曜日までに行けなかったら今週は休む
などルールを決めていました。
その代わり、朝はきちんと起きて一緒にご飯を食べるという条件つきで(中学時代のわが家の場合)。
状態によっては、なんとか登校して成功体験を増やしていくことも大切です。
しかしわたしの場合は、休むルールを決めて余計なエネルギーを消費しないことが早い復帰につながったと思っています。
うちの母はいつも「これ以上は無理」「ここまでしか対応できない」とハッキリ伝えてくれました。
親が頑張りすぎてしまうと、裏切られたという気持ちが強くなる。
結果的に子どもに寄り添う対応ができなくなってしまうでしょう。
ルールを決めることでエネルギー回復が早まった体験談についてはこちらの記事をご覧ください。
早く元気になるためには、朝の行く行かない論争をこじらせないことが本当に重要です。
学校へ行くことは思っているよりも難しいと自覚する
行きたいのに行けない…
この状態から学校へ行くことは思っているよりも難しいです。
本人は夕方(休日)になるとなんとなく行ける気がするし、親としても子どもが”行けそう”と言うから、頑張れば行けるのかなと思ってしまいがちです。
しかし、実際はとんでもなく高い壁があります。
進撃の巨人に出てくる壁くらい高いかもしれません。
3ヶ月…6ヶ月…1年…と長い年月をかけてたっぷりストレスが蓄積しているので、登校できないのも当然ですね。
もしも子どもが「どうして行けないのか…」と悩んでいたら
- 自分が気づかないうちに、たくさんストレスを抱えていたこと
- それが限界を超えていること
- 身体はストレスが限界を超えると、そこから逃げる仕組みになっていること
- 今は休みが必要なこと
をきちんと伝えてあげてほしいです。
くれぐれも
行きたいのに行けないなんてかわいそう…
どうやったら行かせてあげられるか…
子どもの意思を尊重してあげたい…
など、子どもと一緒になって”学校に行くことだけ”を考えるのはNGでお願いします。
子どもは「親のため」「将来のため」「行かなきゃいけないから」など良い子になるために頑張っているので、せめて親だけは子どもの心とカラダを一番に考えるべきです。
親の使命は行きたいという気持ちに寄り添いつつ、きちんと誠実に今の状況を伝えること。
子ども自身が
- 朝になると身体が動かない、体調が悪いのは元気でない証拠
- 学校へ行くことは思っているよりも難しい
と自覚することで、きちんと休めるようになると思います。
最初のうちは「学校に行くことを反対」してもいいくらいでしょう。
ほんとに元気なら、いくら反対しても子どもは勝手に動き出しますからね。
【追記】
身体が動かなくなってしまう理由を詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
びーんずネット「不登校はなぜ原因がわからないのか 〜ポリヴェーガル理論の登場〜」
わが子を信じる
不登校は信頼関係が命。
すべての基礎です。
どうせ行く気ないだろう
嘘つきじゃん
とか思われたら悲しくなります。
ときには、ゲームばかり、寝てばかり、ドタキャンばかりのわが子を見て、信じられなくなることもあるでしょう。
欠席連絡をした瞬間に元気になる子どもを見て、イラつくこともあるでしょう。
それでもいいんです。
イライラしながらも、なんとか信じてみる。
100%じゃなくてもいいから、70%くらい信じてみる。
完璧じゃなくても、どうにかこうにか子どもと向き合っていくことが、信頼関係につながると思っています。
まとめ:「行きたい」という気持ちは嘘じゃない
- 「行きたい」という気持ちは本当
- 学校に行けないのは、目に見えない小さなストレスが積み重なって限界を超えてしまったから。危機を感じた脳が本能的に「学校に近づくな」と指令を出しているため、朝になると体が動かなくなる。
- 意識と無意識の間にギャップが生まれるため、行きたいのに行けない現象が生じた
- 行きたいのに行けない苦しみは、母の共感とアドバイスで乗り越えられた
- わが子を信じることがエネルギー回復の第一歩
- 学校に行くことは思っているよりも難しい
- 負担にならない程度にサポートを続けることが大切
無理してギリギリのメンタルで学校に行っているあいだは、崖から落ちてなんとか木にぶら下がっている状態と同じ。
パッと見、崖の上の学校に近いように見えますが、宙ぶらりん状態ではどんどん体力がなくなるし、そこから学校に戻ることも難しいです。
地面に飛び降りるのは勇気がいります。
地面は木よりも学校との距離が遠いように感じます。
でも、地面ならゆっくりと体力を回復することが可能。
そして、体力が回復したら自分に合った道を探し、そこから再び歩んでいけるでしょう。
もしかしたら、次に登る先は今までいた崖ではないかもしれません。
違う崖かもしれないし、山かもしれないし、それはわかりません。
でも元気になった自分の力で、一歩一歩新しい道を進んでいけます。
地面に落ちて、学校から離れるのはすごく勇気がいること。
地面に落ちたら、崖の上が見えなくて不安になることもあるでしょう。
でも、その勇気の先に、本当の絶景(明るい未来)が待っているのではないでしょうか。
今は宙ぶらりん状態でも、どうにかなっているかもしれません。
でも、いつかは必ず体力がなくなって地面に落ちます。
体力が完全にゼロになってから強制的に落ちるのか、それとも体力があるうちに勇気を持って飛び降りるのか。
どちらが心と体のためになるのか。
ぜひ考えてみていただけたら嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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