- どうしてうちの子が?
- なんかあったの?
- いじめられてるの?
わが子が不登校になると、とにかく身体中から動揺があふれてきます。
とりあえず子どもに
原因はなに?
どうして学校に行けないの?
と聞いてみるものの「わからない」と答えるか、なにも答えてくれないことがほとんど。
ハッキリとした理由がないため、どのように対応したらいいかわからず、途方に暮れてしまうことも多いでしょう。
今回は不登校の原因(要因)についてまとめていきます。
原因を探るときの注意点や不登校になったわが子と接するときのポイントもあるので、最後までご覧ください。
- 不登校の原因はわからなくて当たり前
- 多くの場合、複数の要因が合わさって学校に行けなくなる
- 主な要因は「本人要因」「学校要因」「家庭要因」の3つ
- 子どもが答えた理由が本当の原因ともかぎらない
- 犯人探しばかりするのはやめよう
- いつも通りに接することが大切
今回の記事は「【どうしてうちの子が?】不登校の原因と復帰を早める7つのヒント」を要約したものです。
より詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
不登校の原因がわからない?当然です
結論からいうと、不登校の原因はわからなくて当たり前です。
不登校は、複数の要因が複雑に関わりあって生じます。
心という容器に小さなストレスが積み重なり、それが限界を迎えたときに学校に行けなくなるのです。
コップから水があふれるイメージをしてもらえればわかりやすいでしょう。
日頃の小さなストレス・緊張・不安は目に見えないので、積み重なっている感覚、限界を超えている感覚がありません。
でも、心はいっぱいいっぱい。
脳は「もう限界」と危険信号を出しており、からだが動かなくなります。
意識と無意識の間にギャップが生まれるため、子ども自身も「なんで行けないんだろう…」と悩んでいることが多いです。
原因がわかってスパッと解決できたらラクですが、そう簡単にはいかないのが現実。
不登校の「これっ!」といった原因はわからなくて当然だと頭に入れておいてください。
理由を答えられないわが子を責めるようなことはNGでお願いします。
不登校のおもな要因
一般に不登校の原因といえば
- 無気力、不安
- 生活リズムの乱れ、あそび、非行
- 親子の関わり方
- いじめを除く友人関係をめぐる問題
などを挙げられますが、これらは表面的な理由にすぎないでしょう。
実際にはいろいろな要因が組み合わさって、不登校が生じています。
不登校の要因は大きくわけて、「本人要因」「学校要因」「家庭要因」の3つです。
本人要因
本人要因は以下の通りです。
- 気質、体質
- 過敏性腸症候群などの心身症
- 精神疾患
- 神経発達症群(発達障害)
- 認知や思考の癖
- 精神の未熟さ
- 思春期特有の自己意識や劣等感
- 自律神経やホルモンバランスの乱れ
- 神経症
- 母子分離不安
- 過剰適応
など
不登校は生まれ持った気質や体質が一因となって起こることも多いです。
しかし、HSPや発達障害、思春期の自律神経の乱れなどは治すことができません。
求められるのは、これらと上手くつきあっていくこと。
簡単ではありませんが、生きていくコツやストレス対処法を身につけたり、自分が過ごしやすい環境を見つけたりすることが大切です。
みんなと同じではなく、自分が一番輝けるような生き方を模索していきましょう。
生きていくコツやストレス対処法と言われてもわかりにくいと思うので、わたしが身につけた例をあげます。
- 「相手の不機嫌は自分のせいだけじゃない」と知る
→今までみたいに「わたしのせいかな…?」「どうにかしなきゃ…」と考えすぎてストレスをためこむことがなくなりました。疲れてんのかな〜勝手にしろ〜と思えるように。 - 「人は思っているより他人のことを気にしていない」と知る
→みんな興味があるのは自分のこと。全員に好かれることもない。どんなときも挨拶や感謝、笑顔を大切にすればOK。「どう思われてるのかな…」と考えすぎることがなくなりました。 - 「◯◯すべき」という思い込みや価値観に気がつく
→「◯◯すべき」は勝手な思い込み。他者の価値観の押しつけ。この思い込みに気がつくことで、自分を過剰に追い詰めたり、できなくて落ち込んだりすることが減りました。「たしかに100点ではないけれど、◯◯できたからOKでしょ」と自分を認められるように。 - 不安なときはノートに書き出す
→外在化することで、頭の中でグルグルしていたことがスッキリ。不安やストレスが減りました。 - ありのままの感情を書き出す
→ネガティブな感情も含め、ありのままの感情・素直な気持ちを書き出す。自分の感情をしっかり味わうことで、わたしを取り戻し、他者に振り回されなくなりました。 - 自分の体質を知って環境調整
→わたしはロングスリーパー。どうしても朝が苦手な体質。無理すると体調を崩す。だから、お昼ごろから活動できる学校や仕事を選んでいます。 - 自分の特性を知ってセルフケア
→いわゆるHSPで、不安になりやすかったり緊張しやすかったりする。なので、安心材料を揃えたり、意識的に力を抜いたり、ボーッとしたり、マインドフルネスを実践したりしています。 - 自分なりのリラックス法を見つける
→わたしは都会やデジタルが苦手。自律神経を整えるために、観葉植物を置いたり、デジタルデトックスをしたり、定期的に自然に行くようにしています。 - エネルギーを調整する
→自分の体調やエネルギー量を記録して、自己洞察力を高める。それをもとに「今日はここでやめておこう」「この予定はキャンセルしよう」とセーブする。その結果、エネルギーを安定供給できるように。 - ぐるぐる思考にツッコミを入れる
→わたしは常になにかを考えている。常に頭のなかでしゃべっている。「さすがHSPのわたし、今日も脳みそフル回転」「めちゃくちゃ話すね〜」とツッコむことで、ぐるぐる思考を止められるように。 - 合谷をマッサージする
→緊張しているときや不安なとき、体調不良のときなど、合谷というツボを痛気持ちいいくらいでマッサージ。心が落ち着き、頭痛や腹痛もスッと消えるので、わたしのお守りになっています。体調をコントロールする感覚もつかめました。 - 猫やぬいぐるみを抱きしめる
→ペットの猫ちゃんやぬいぐるみを抱きしめることで、心地よい安心感でいっぱい。力が抜けて、リラックスもできて、穏やかな気持ちになれます。 - きちんと他人を頼る
→頼ることは悪いことじゃない。頼ったり甘えたりして迷惑をかけることもあるけど、いつか恩返しできればいいな、わたしもできる限り親切にしようという思いで、遠慮なく頼るようにしています。 - 睡眠・栄養・運動を大切にする
→あたりまえすぎるけど、すべての基盤。日光を浴びる、リングフィットをやる、ウォーキングをする、夜は部屋を暗くするなど、できることはやるように。外出して、ショッピングモールをぶらぶらして、適度な人とのつながりも感じる。そのおかげか、昼夜逆転にならず、心も身体もまあまあ安定しています。
自分を正しく知り、ネガティブな面も含めてきちんと向き合うこと。これが今につながっていると感じています。
また、このように等身大の自分と向き合うためには、安心できる環境や信頼できる人の存在が大切だった気がします。
生きていくコツとも関係ありますが、認知や思考の癖は今からでも変えられます。
ストレスは環境だけが原因ではありません。
根本原因はわたしたちの「認知や思考の歪み」である可能性が高いです。
二分割思考 | ものごとを極端に判断してしまっている状態。中間がない。白か黒か、失敗か成功か、健康か病気か、など |
過度の一般化 | たまたま良くないできごとが起こったとして、それが常に起きると決めつけて一般化してしまっている状態 |
選択的抽出 | 様々な状況の中で、自分が関心を持っている情報だけに注意を向けてしまっていて、その状況のその他の情報は無視している状態 |
マイナス化思考 | 取るに足らないことや、良いできごとを悪いできごとのようにすり替えてしまっている状態 |
心の読み過ぎ | 確たる証拠もないのに、人は私のことを見下しているとか、否定しているなどと、勝手に思い込んでいる状態 |
先読みの誤り | これから起きるできごとについて否定的な予測をして、そのことが実際に起きるものと信じている状態 |
拡大解釈 | ネガティブなできごとを客観的に判断するのではなく、必要以上に注目してしまっている状態 |
過小評価 | 拡大解釈の逆で、ポジティブなできごとや自分の長所について、取るに足らない小さなものであると考えている状態 |
情緒的理由づけ | 自分の感情の状態があたかも事実を表しているように考えてしまう状態 |
すべき思考 | 何かを始めようとした時に「〜すべきである」「〜しなければならない」と考えてしまう状態 |
レッテル貼り | ネガティブな自己イメージがとても強いために、何か失敗した時に、事柄に注目しないで自分自身をダメな人間だと考えてしまう状態 |
自己関連づけ | 何か良くないできごとがあると、様々な要因があるにもかかわらず、自分が原因でこうなってしまったと考えている状態 |
不登校はこの癖や歪みに向き合うチャンス。
カウンセリングやコーチング、認知行動療法を利用して、ストレスを減らす考え方を身につけていきましょう。
また、
- いろいろな体験をすること
- いろいろな本を読むこと
- いろいろな人に出会うこと
などを通じて、視野を広げることも重要です。
詳しくはこちらの記事の「本人要因」をチェックしてください。
学校要因
学校要因は以下の通りです。
- 友人とのトラブル
- 教員とのトラブル
- 学業不振
- 環境変化による不適応
- 校則や規則をめぐる問題
など
不登校の要因でよくあるのが人間関係。
世の中にはいろんな人がいて、人間関係は非常に繊細なものです。
もちろん「いじめる人」「ハラスメントをする人」は論外ですが、誰にでも「相性が悪い人」や「苦手な人」はいます。
今はとりあえず逃げることも一つの手段。
しかし実際問題として、いつも逃げるわけにはいきません。
わが子が人間関係で悩んでいたら、
- 世の中にはいろんな人がいる
- 合う人もいれば合わない人もいる
- 全員に好かれることはない
- 自分が疲れない距離感で
などと声をかけましょう。きっと心が軽くなると思います。
ありのままのわが子を大切に、どんなときも心に寄り添ってあげてください。
また、共感することもエネルギー回復に欠かせません。
わたしはお母さんに「あいつムカつくね」と話を聞いてもらえて嬉しかったです。
もっと詳しく知りたい人はこちらの記事の「学校要因」をご覧ください。
家庭要因
家庭要因は以下の通りです。
- 過干渉
- 家庭内不和
- 金銭的問題
- 親の病気
- 親の介護
- 離婚、再婚
- リストラ
- 虐待、ネグレクト
など
過干渉は不登校の直接の原因ではないものの、ストレスの抱えやすさや回復過程、親子の信頼力に大きく関わってきます。
家庭は本来、ホッとできる場所であるべきです。
しかし、親が過干渉だと学校だけでなく家でもストレスMAX。
エネルギーを回復できません。
心が疲れ切ってしまい、やる気ゼロになってしまうことも多いでしょう。
普段からこんなことを言ってはいないでしょうか。
- ◯◯しなさい!
- 早くしなさい!
- 早く行きなさい!
- どうしてちゃんとやらないの!
- 全部あなたのために言ってるの!
- 失敗しても知らないよ!
- いつも遅刻するなら塾なんてやめるよ!お金がもったいない!
過干渉についてはこちらの記事の「家庭要因」のところでまとめています。
あっ、やばいかも
うちは大丈夫?
と心配なお母さんお父さんはサクッと目を通しておくと安心かもしれません。
不登校の原因がわからないときの注意点
不登校の原因はわからないことが多いと知っていても、どうして学校に行けないのか気になりますよね。
いじめ等の可能性もあるので、原因を探ることは重要です。
ただし、「どうして学校に行けないの?」「行けない理由はなに?」とイライラしながら聞くのではなく、
学校で何かあった?
困ってることある?
大丈夫?
とやさしく寄り添いながら探りましょう。
また、子どもが答えたときも注意が必要です。
もしかしたらわが子は「学校が…」「先生が…」「友達が…」「勉強が…」「体調が…」と答えるかもしれません。
しかし、それは不登校のきっかけにすぎないことがほとんど。
真の要因は別のところにあると考えたほうがいいでしょう。
そのため、子どもが答えた原因だけをもとに、「学校のせいだ!」「先生のせいだ!」「友達のせいだ!」と決めつけてしまうと、解決するのは難しいです。
わが子が苦しんでいる姿を見ると他人のせいにしたくなる気持ちもわかりますが、そこは冷静に。
不登校になった子どもも学校に行っていた時間がありますよね。
原因探しではなく、その子にとって学校生活がどんな意味や価値を持っていたのか、どんなストレスを感じていたのかを、理解するように心がけてください。
不登校になったわが子に親ができること
最後に、不登校のわが子に親ができることをまとめていきます。
もしかしたら「うわー、もうやっちゃった…」と泣きたくなることもあるでしょう。
でも後悔する必要はありません。
今日から少しずつ少しずつわが子が元気になる対応を増やしていけば大丈夫ですよ。
無理やり学校に行かせない
不登校になったわが子を無理やり学校に連れていくことは控えたほうがいいでしょう。
明確な原因がないので、ついつい「甘えだ」「サボりだ」と思ってしまいますが、そんなことはありません。
学校に行けなくなった時点で、心は限界を迎えています。
まずはわが子を信じて、休むことを優先してくださいね。
辛いときに「学校休んだら?」「大丈夫?」と言ってもらえる安心感は、子どもの心を守ります。
その上で、
- じゃあどうするか?
- 今はなにをするべきか?
を合理的に話し合っていくことが大切でしょう。
不登校中のルールを決めることでストレスが減った体験談はこちらの記事をご覧ください。
たまに無理やり連れていくことで登校を続けるケースもありますが、これはレア。
20人に一人いるかいないかです(父親が怖すぎるなど)。
あとでメンタルを崩したり、非行に走ったりすることも多いので、無理やり登校させることはおすすめできません。
犯人探しばかりしない
いじめ等をのぞいて、不登校は誰のせいでもありません。
「誰が悪い」「誰のせいだ」と犯人探しばかりするのはやめましょう。
人のせいにするのはラクですが、それではなにも解決しません。
また、親が自分を責めることも控えてください。
育て方が悪かったのではないか…と悲観されると、育てられた側までショックを受けます。
後ろめたさも感じてしまいます。
いまや25万人以上が不登校。
カウンセラーの子どもだって、精神科医の子どもだって、学校の先生の子どもだって不登校になりますよ。
誰のせいでもなく、いつどこの家庭にも起こりえることです。
いつも通りに接する
不登校になってもいつも通りに接することが大切です。
- 親に批判される
- 不安そうな顔をされる
- イライラして話してくる
- 腫れ物扱いしてくる
このような状態が続くと、親と安心して話せなくなり、しだいに顔も見せなくなります。
心も潰してしまうかもしれません。
不登校の1番の問題は「学校に行けないこと」ではなく、学校に行けなくなることで「心が潰れること」です。
不登校でもかわいいわが子に変わりはありませんから、いつも通りを心がけてほしいと思います。
復帰を早める対応についてもっと詳しく知りたい!というお父さんお母さんは、こちらの記事の「復帰を早める7つの対応」をご覧ください。
まとめ:不登校の原因はわからないことが多い
- 不登校の原因はわからなくて当たり前
- 多くの場合、複数の要因が合わさって学校に行けなくなる
- 子どもが答えた理由が本当の原因ともかぎらない
- 犯人探しばかりするのはやめよう
- いつも通りに接することが大切
わたしも元不登校でしたが、学校に行けなくなった理由は正直わかりません。
学校が嫌いなわけではないのに、朝になるとからだが動かなかったんです。
戸惑い・不安などから情緒不安定。涙もあふれてきます。
そんなわたしに対して母は「無理しないで」「とりあえず学校休んだらどう?」と声をかけてくれました。
不登校になったばかりのころは、一日中ゲームばかり。ダラダラと引きこもりのような毎日です。
しかし母は、そんなわたしを絶対に怒らなかったんです。
今までと少しも変わりなく、いつも通り。
安心感があるから、1ヶ月ほどでエネルギーチャージできました。
マナーとかには厳しかったですが、学校に行けないことを責められることはなかったと思います。
そして、少し元気になったあとは、母の「不登校は特別じゃない」「人生は終わりじゃない」という方針のもと、現状と向き合っていきました。
多くの場合、不登校のハッキリとした原因はわかりません。でも、
- どんな要因があるのか
- どんなことにストレスを感じやすいのか
- 学校生活のどんなことに困っていたのか
- ストレスを抱えやすい考え方の癖はないか
などを分析することはできます。
不登校になった理由がまったくわからないのは、親にとっても子どもにとっても辛いはず。
どうしよう…なんで…とパニックになっているだけでは、どんどん回復が遅れてしまうでしょう。
不登校になったらわが子と向き合うチャンス。
たしかに簡単なことではありません。
ときには自分やわが子のネガティブな面に向き合わなければいけないときもあるでしょう。
でもわたしは、ここでしっかり自分の得意不得意などを分析しておくことが、生きやすさにつながると思っています。
「なんで?」「どうして?」と責めながら、一方的に原因を問いただすのはNG。
まずは、学校生活で困っていることやストレスの感じ方などについて考えてみてはいかがでしょうか。
この記事が少しでもあなたのお役に立てれば嬉しいです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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